前回の『~ねんきん定期便でわかる~ 公的年金はいくらもらえる?』では50歳以上の方が受け取る「ねんきん定期便」の記載内容について解説しました。
そこで今回は50歳未満の方が受け取る「ねんきん定期便」の記載内容について書きたいと思います。
「ねんきん定期便」は毎年の誕生月に送付されます。
加入している制度やその期間、その時の給与水準によって将来受け取れる年金額が違ってくるため、自分が加入している年金記録について確認おこなうことはとても大切になります。
そのためしっかりと目を通してもらいたいものです。
<記載事項(50歳未満)>
50歳未満の方が受け取る「ねんきん定期便」には、ねんきん定期便発行時点までの加入実績に応じた年金額が記載されています。
【受給資格期間】
老齢年金を受給するためには、60歳までに原則として120ヶ月以上の受給資格期間が必要です。
「ねんきん定期便」にはこれまでの年金加入期間欄に、これまでの受給資格期間が書かれています。
とくに注意をして見ておいたいのが、厚生年金保険の加入期間です。
これは遺族厚生年金、障害厚生年金には被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算される「300ヵ月最低保証」のみなし措置があるためです。
【受給資格期間】
受給期間が300ヵ月(25年)以上あれば、死亡時に第1号被保険者であっても遺族厚生年金が配偶者に支給されます。
そのため独立や起業などを経験している方は、この受給資格期間の確認を怠らないようにしてください。
尚、中高齢寡婦加算については、厚生年金保険の加入期間が240ヵ月以上あることが条件になります。
【これまでの加入歴に応じた老齢基礎年金の見込額】
「ねんきん定期便」発行時点までの加入歴に応じた、老齢基礎年金の見込額が記載されています。
ここに書かれている年金額(年額)は、その年の老齢基礎年金満額をもとに、受給資格期間に応じて計算されています。
つまり今の時点でもらえる年金額になるので、今後加入歴が長くなることで金額は増えていくことになります。
【これまでの加入歴に応じた老齢厚生年金の見込額】
老齢基礎年金の見込額と同様に、「ねんきん定期便」発行時点までの加入歴に応じて、老齢厚生年金の見込額が記載されています。
老齢厚生年金の額は、会社から受け取る給料(標準報酬月額)が増えれば増えるほどもらえる金額が多くなっていきます。
給料が増えることで目先の所得税や住民税、それに社会保険料が増えてしまいますが、将来受け取る年金額が増えることを考えれば、積極的に働いて給料アップに励むという、ポジティブな考え方があってもいいのではないでしょうか。
※標準報酬月額・・・会社に勤める人が会社から支給される基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えた1ケ月の総支給額(臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等を除いたもの)を「報酬月額」といいます。
報酬月額を保険料額表の1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの31等級に分け、その等級に該当する金額のことを「標準報酬月額」といいます。
引用:日本年金機構ホームページ
これまでの加入歴を必ずチェック
これは実際に私の妻のケースですが、ねんきん定期便の加入歴に、新卒で入って1年数ヶ月勤めた会社の記録が抜けていました。
日本年金機構に連絡をしたところ、妻は引っ越しをしたことがなかったため、それまで住所が変わったりはしていないにもかかわらず、同一人物が2つに分かれて存在していたようです(2つの基礎年金番号が存在)。
おそらく担当者が適当に名前の読み方を適当に処理してしまったんだと思われます。
一時期社会保険庁による年金記録のずさんな管理が社会問題化していましたが、このように年金記録の漏れは身近なところでも発生しています。
そのため「ねんきん定期便」の加入歴に漏れがないかのチェックを必ず行うようにしましょう。
久保 逸郎
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