日本人の保有資産は不動産に偏っている傾向があります。
金融資産をあまり持たないで、資産は自宅不動産くらいという世帯も結構多いものです。
そのため自宅を担保にして、住み続けながら老後資金が得られるリバースモーゲージは、 不動産中心の資産構成になっている高齢者には大変ありがたい仕組みではないでしょうか?
リバースモーゲージのメリット
とくに定年退職後も住宅ローンの返済が残っていて、その返済が負担になっている世帯にとっては、リバースモーゲージを利用することによって借り換えを行うことは大きな選択肢でしょう。
住宅ローンの場合は元金と利息の両方を支払う必要がありますが、リバースモーゲージなら基本的に月々の利息の支払いのみで済むからです。
そのため子供に家を残す必要がなく、セカンドライフを充実させたいという世帯にも、リバースモーゲージは良い選択になってくると思います。
また、リバースモーゲージでまとまった資金を借り入れて、有料老人ホームに入居する際の資金に充てることも可能です。
有料老人ホームに入居するには数百万から1千万以上の初期費用がかかるのが一般的ですし、毎月の年金収入だけでは月々の費用(ランニングコスト)を賄えないというケースも多いと思います。
有料老人ホームを終の棲家と考え、自宅を残す必要が無い場合には、リバースモーゲージを活用してもいいのではないでしょうか。
リバースモーゲージのデメリット
リバースモーゲージにはこのようなメリットがありますが、一方でデメリットも多いものです。
最大のデメリットは、対象となる不動産が限定されていることです。
リバースモーゲージの借入額の上限は不動産評価の50~80%が目安になってきますが(与信上は50~70%程度の場合が多い)、戸建てで一定の土地評価のある場所でないと、良い条件で融資が受けられない可能性が高いですね。
資産価値が乏しい地方の場合はリバースモーゲージを活用できないケースが多く、大都市部であっても建築条件等の関係で望むような不動産評価にならなかったり、契約を結べないことも多くなっています。
また、金利上昇リスクもあります。リバースモーゲージは基本的に変動金利を採用することが多いため、契約期間中に金利が上昇してしまうと、当初の想定よりも融資を受けられる金額が下がってしまったり、月々支払う利息が増えてしまう可能性があります。
担保評価が下落するリスクもあります。
リバースモーゲージの融資額は自宅の担保評価額によって決まります。
担保評価額は基本的に毎年見直しが行われますが、市況の悪化等で自宅の不動産価値が下がってしまうと、それに応じて融資限度額も下がってしまいます。
万一、借入残高が融資限度額を上回ってしまった場合には、超過分を返済しなければならないため、事前の想定よりも早く自宅を手放すことになりかねません。
また、長生きもリバースモーゲージのリスクになってきます。
それは長生きをし過ぎると、生きている間に借入残高が融資限度額を超えてしまうこともあるからです。
また、一部の金融機関では長期の返済リスクを抑えるために、期限付きの契約でリバースモーゲージを提供しているので注意が必要です。
リバースモーゲージには、このようなメリットとデメリットが存在しますので、それを踏まえて上手に活用するようにしましょう。
久保 逸郎
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