資産運用

仕事としての運用と、趣味の運用は分けて考える

2020年も残りあとわずかになってきました。
新型コロナウイルスに始まって、新型コロナウイルスで終わる。
今年はそのような一年だったような気がします。
昨年までは出張をする機会が多かったですし、さまざまなイベントもあって、一年の中で変化を感じる機会も多かったのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で出かける機会が少なく、仕事と趣味のテニスやジム通いなどをしながら、淡々と一年を過ごしてしまったような気がして少し反省をしているところです。

仕事としての運用と、趣味の運用を分けていますか?

このように日々の生活においては変化があったほうが記憶にも残りますし、刺激があって良いと思いますが、実は資産運用においては淡々とというか、粛々と着実に進めていったほうがいいんですよね。
「落ち着いた運用」とでも言えばいいのかな。

毎年この時期は NISA のロールオーバーなどで、ファイナンシャルプランナーとして相談に乗っているお客様の資産運用の状況を確認するのですが、ライフプランに合わせたポートフォリオを組み、じっくりと長期投資を行ってきた人、または積立投資でコツコツと資産形成を行ってきた人は、皆さんがちゃんと良い成果を上げています。
その一方で、自分であれこれ良さそうなものを選んで投資をしている人や、タイミングを計った投資を中心に行っている人は、これだけマーケット環境が良い状況にもかかわらず、あまり芳しくない成果になっていることが多くなっています。

私がアドバイスを行っている大切なお金の運用(仕事としての運用)の部分はプラス収益が出ているのに対して、お客様が自身で銘柄を選んで株式投資や投資信託などを購入している部分(趣味の運用の部分)はほぼ全銘柄の収益がマイナスになっているなんていうケースが実際多いのです。
私のお客様については、日頃から「ちゃんと仕事としての運用と、趣味としての運用は分けましょう」と伝えてあるので、 趣味の運用の部分で少々マイナスが発生していたとしても、それはそれで予算の範囲で行ってもらっているので構わないのですが、世間ではこのような仕事としての運用と趣味としての運用をしっかりと分けている人は少ないのではないでしょうか?

例えば老後資金や教育資金のような今後の生活にどうしても欠かせない資金は 、とにかく減らさないことが大切になりますから、リスクコントロール最優先でしっかりとポートフォリオを組んで、じっくりと資産を育てていく必要があります。(=長期国際分散投資)
分散投資でブレを少なくしながら運用を行っていくことは、投資で最も大切な複利効果をしっかり活用することに繋がるため、最終的にはこのようなスタンスで投資を行っている人が成功していきます。

【ブレの大きい運用と少ない運用】
ブレの大きい運用と小さい運用

その一方で、あれこれ良さそうな商品(銘柄)を選び、タイミングを見ながら頻繁に売買を繰り返している人は複利効果を十分に生かすことができないため、資産はなかなか増えていきません。
もちろん自分で選んだ銘柄が当たれば嬉しいですし、楽しいのは間違いないんですけどね。
個別銘柄を選ぶ株式投資などを行うことは、新聞やニュースなどでマーケット情報などをチェックする習慣が身に付いて、仕事などの場面でも役に立つことが多いでしょうから、それを否定する気はありませんが、ファイナンシャルプランナーとしては大切なお金の運用についてはちゃんと投資を行って欲しいなぁと考えています。

投資と投機をはっきりと区別する

日本人の悪いところは投資と投機をはっきりと区別していない点にあると思います。
本人は投資をしているつもりなんだけど、実際はタイミング優先の投資なってしまっていて、投機をしているようなケースがとても多いのです。
または、その時々であれこれ良さそうな銘柄ばかりを買ってしまっていて、金融資産全体の目標リターンやリスクをあまり考えていないようなケースも目立ちます。
これまでに講演等で全国各地を回ってきましたが、しっかりとポートフォリオを組んで、上手に投資を行っている方は極めて少ないという印象を持っています。

海外では投資のことはインベストメント( investment)、投機のことは スペキュレーション(speculation)と言うように言葉自体からして分かれており、これらは違うものとして認識されています。
趣味のお金の運用は投機(speculation)で楽しみ、大切なお金の運用は投資( investment)を行なってじっくりと資産を増やしていく。
ファイナンシャルプランナーとしては、このような海外の常識が日本でも浸透して欲しいなあと思うばかりです。

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老後のお金の不安解消アドバイザー(ファイナンシャルプランナー) 愛知県名古屋市生まれ 福岡県春日市在住 老後のお金の不安を解消する、ライフプランと資産運用&資産管理の専門家 「90歳まで安心のライフプラン」を合言葉にして、豊かな人生の実現に向けたライフプラン作りの支援を行っている。 独立から約17年にわたり相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近い講演や、マネー雑誌やコラム等の原稿執筆を行うなど幅広く活動をしている。 <主なメディア実績> 読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか
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