老後の生活設計を考える時に、毎月の収入のベースになるのが公的年金です。
この公的年金はすべての国民が加入する基礎年金と、会社員が加入する厚生年金の2階建ての仕組みになっています。
公的年金の受給額は人によって違う
自営業者や学生などが加入する国民年金はこの基礎年金の部分に該当しますが、20歳から60歳までの40年間、一度も未納することなく保険料を納めた場合、65歳から受け取れる年金額は77万9300円(平成30年度)です。
月額にすると6万9401円になります。
但し、保険料の未納期間や免除期間がある場合は、その期間(月数)に応じて減額されます。
給与から保険料が差し引かれる厚生年金と異なり、国民年金の場合は加入者が自ら保険料を納めなくてはいけないため、保険料の納付漏れがないかどうかを確認しておいたほうがよいでしょう。
厚生年金はサラリーマン・OL・公務員や教職員などの給与所得者が加入するもので、保険料は給与から天引きされます。
保険料は会社(事業主)と折半なので、半分だけしか負担していないことになります。
受け取れる年金額は厚生年金に加入している期間や、その時の報酬水準によって異なります。
たとえ1ヶ月だけしか厚生年金の保険料を支払っていなくても、受給要件を満たして年金を受け取ることができますし、その時の給与水準が高ければ高いほど受け取れる年金額は多くなります。
※報酬の上限など一定の条件あり
ねんきん定期便で公的年金の受給額を確認しよう
このように公的年金制度は加入している制度とその期間、その時の給与水準によって受け取れる年金額が違ってくるため、自分が加入している年金記録について確認をしておくことは大切です。
そのため旧社会保険庁時代の年金記録漏れ問題を受けて、誕生月に毎年送付されるようになった「ねんきん定期便」の内容をしっかりと確認してもらいたいものです。
その「ねんきん定期便」に記載されている内容は50歳以上と50歳未満では異なります。
今回は50歳以上の記載内容を簡単に説明しますね。
<記載事項(50歳以上)>
50歳以上の人が受け取る「ねんきん定期便」には、「ねんきん定期便」の作成時点の年金加入状況がそのまま60歳まで続くという前提で、将来受け取ることができる年金見込額が記載されています。
【受給資格期間】
老齢年金を受給するためには、60歳までに原則として120ヶ月以上の受給資格期間が必要です。
これまでの年金加入期間欄にこれまでの受給資格期間が書かれています。
50歳以上の方にとくに注意をしていただきたいのが、遺族年金と障害年金の受給要件を満たしているかどうかです。
遺族年金や障害年金は、死亡日あるいは初診日の属する月の前々月までに3分の2以上の受給資格期間があることとなっています。(平成38年までは直近1年間に保険料の未納がなければいいという特例あり)
そのため老齢年金の受給資格期間と合わせて、遺族年金と障害年金の受給要件を満たすかどうかを必ず確認するようにしましょう。
【受給開始年齢】
男性の場合は昭和36年4月1日、女性の場合は昭和41年4月1日以前に生まれた人で、これまでの厚生年金加入期間が1年以上ある場合は、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。
【老齢基礎年金の見込額】
60歳まで年金加入状況が続いた前提で計算された、老齢基礎年金の見込額が記載されています。
【老齢厚生年金の見込額】
老齢基礎年金の見込額と同様に、そのまま60歳まで年金加入状況が続いた前提で、老齢厚生年金の見込額が記載されます。
但し、厚生年金は報酬水準によって受け取れる金額が変わってくるため、とくに出向や役職定年等で報酬水準が下がってしまう場合、記載されている見込額よりも実際に受け取る年金額が少なくなってしまうことがあるので注意してください。
久保 逸郎
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