債券投資を行う際に、投資先の信用力を確認しておくことはリスク管理を行う上でとても重要です。
それでは個人の投資家は、どのようにして投資先の信用力を確認すればいいでしょうか?
最も簡単な方法は、格付機関が出している信用力格付けを確認することです。
有名な格付機関としては、S&P(スタンダード&プアーズ)やMOODY’S(ムーディーズ)と言った格付機関があるので、そのような格付け機関が付けている信用力格付けを確認するといいでしょう。
下記の表は S & P の格付けの定義になります。
債券の格付けと利回り格付けランクとその定義
AAA が最も信用力が高く、その次がAA、 Aと順番に格付けが下がっていき、最も低い格付けがCになります。
S&Pが投資先の信用力をどのようしているか、定義の部分を参考にするとわかると思います。
例えば AAA の格付であれば、「当該金融債権を履行する債務者の能力は極めて高い」というように、高い信頼度を与えています。
その一方で、 例えばCCの場合、「当該債権が不履行になる蓋然性が現時点で非常に高い」と書かれているように、投資先がデフォルト(破綻)する可能性が大変高い状況であることを示唆しています。
特に個人投資家が注意しておかなければいけない点は、S&PはBBB以上を投資適格と格付けしている点です。
つまり格付機関が「基本的に不安がない」とお墨付きを与えているのはAAA・AA・A・BBBまでということです。
その一方で、BB以下の場合は投機的格付けとして「何らかの不安要素がある」という判断がされています。
このような低い格付けの債券は、ハイ・イールド債、ジャンク債などと呼ばれています。
大切な資金の運用は、BBB以上で行うのが基本
基本的に信用力が高い方が債券の利回りは低く、信用力が低いと利回りが高くなります。
したがって利回りへの魅力から、 信用力が低い債券への投資に魅力を感じてしまう方もいるかもしれませんが、老後の生活資金や教育資金のような大切なお金の運用を行う場合には、なるべく投機的格付の債券は避けるようにしておくか、または少量の保有に留めておきたいものです。
これは債券に投資を行う投資信託を購入する際にも同じことがいえます。
投資信託の月報には投資先の格付けの状況が載っていますので、 購入する前には必ず投資先の信用力を確認するようにしましょう。
とくに「分配金が高いから」というような理由で投資信託を選んでしまうと、投資先の利回りが高い、つまり投資先の信用力が低くなってしまう可能性が高いため注意が必要です。
ハイ・イールド債の場合、 バブルの崩壊時やリーマン・ショックの時などは、デフォルト率が10%を超える場面がありました。
今回のコロナショックにおいては、FRB が新型コロナウイルスの影響によってBB に格付けが下がった債券を、実質的に買い入れる措置をしているため、現時点(2021年1月16日)でのデフォルト率は約6%程度に抑えられていますが、それでも少しずつデフォルト率は上がってきています。
このような買い入れ措置がいつまでも続くとは限らないため、今後の推移を注意深く見守っていく必要がありますし、少なくともハイ・イールド債がリスクが大きい資産クラスであることを忘れないようにしてもらいたいと思います。
久保 逸郎
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