来年1月からつみたてNISAがスタートします。
初めのNISAがスタートする直前は、金融機関の勉強会などで説明を行う機会が多く大変忙しかった記憶があるのですが、今回のつみたてNISAではあまり金融機関の積極的な動きを感じません。
金融庁の条件が厳しくつみたてNISAの対象となる銘柄が少ないことや、収益面で取り扱う金融機関側のメリットが少ないことが影響してしまっているのかもしれませんね。
スイッチングができないつみたてNISAは銘柄選びが大切
そのつみたてNISAですが、購入方法は定期的に継続した買付(積立)でなければいけないので、基本的に銘柄の入れ替えができないことが欠点として挙げられます。
例えば、つみたてNISAの場合は40万円の非課税枠(年間)がありますが、その枠内で買ったり売ったりすることができるわけではなくて、その年のつみたてNISAでの積立購入額が40万円まで達してしまうと、その年分の非課税枠は使い切ったことになって終わりです。
もしも積立の銘柄選択を失敗してしまったり、途中でより魅力のある銘柄が対象に加わったことなどを理由にファンドを入れ替えたいと思っても、つみたてNISAの枠内で行うことができません。
(但し、売却して現金化することはできます)
この点はいつでもスイッチングして銘柄の入れ替えを行うことができる確定拠出年金とは異なるところです。
それだけにつみたてNISAで購入する銘柄は慎重に検討しなければいけないのです。
リバランス機能があるバランスファンド
その一方で、20年間という長期にわたる投資期間があるので、できれば長期的な視点で資産の成長が見込まれる投資対象を選びたいところです。
個人的には経済成長率が低い日本の株式よりも、高い成長率が見込まれる新興国株式や、米国などの先進国の株式を多めにしたいと考えています。
長期にわたる積立でドル・コスト平均の効果も発揮されやすいはずですので、少し多めにリスクを取っていくスタンスでいいと思います。
しかし、それでもリバランスができないことを考えると、あくまでも投資の基本である分散投資のスタンスを維持して、特定の資産に集中させることは避けたいものです。
したがって、このようなつみたてNISAの制度の特徴を踏まえると、ファンド内でポートフォリオのリバランスを行ってくれるバランスファンドというのは最有力の選択肢になってくるのではないでしょうか。
リバランス・・・複数の資産や証券に分散投資するポートフォリオ運用においては、時間の経過とともに相場が変動し、当初に決めた資産配分が変化します。
その時にその資産配分の比率を計画どおりに修正する作業を行います。
このような資産の再配分をリバランスといいます。
個人が複数のファンドを組み合わせてポートフォリオを構築し、そのバランスを維持しようとすると、どうしても売りと買いの両方を行わなければいけないことが多いのですが、つみたてNISAではそれができません。
しかし、バランスファンドはファンド内でリバランスを行ってくれるので銘柄の入れ替えには該当せず、制度の欠点を補ってくれるのです。
つみたてNISAは金融機関選びも慎重に
現時点(2017年11月3日)では、つみたてNISAで購入できる銘柄は114本の投資信託と6本のETFに限られていますが、その中でもバランスファンドの選択肢は比較的多くなっています。
あらかじめ決められた基本投資割合に沿うファンドや、世界経済に占める各地域のGDPシェアの変化に応じて構成比を見直していくファンド、年齢が上がるとともに積極運用の割合を引き下げてリスクが下がるように運用を行うターゲットイヤーの考え方を取り入れたファンド、株式のウエイトが少ない安定型のファンドなど、さまざまなタイプのバランスファンドが選択肢にありますので、期待する収益率やリスク許容度に応じて自分に合った銘柄を選ばれてはいかがでしょうか。
また、つみたてNISAの開始が近づいてきているこの時期になっても、「なかなか商品を揃えることができない」と困っている金融機関の声も聞きます。
それに独立系運用会社のさわかみ投信のように、つみたてNISAへの参加を見送ったところもあります。
それぞれの金融機関によって購入できる商品が異なるので、つみたてNISAで購入をしたい銘柄を先に選んでから、つみたてNISA口座を開設することはとても大切です。
「勧められたから」という理由で、安易に口座開設をしてしまうことは避けましょうね。
久保 逸郎
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