今年(2018年)からつみたてNISAがスタートしました。
2014年にNISA制度が始まって、その後2016年にジュニアNISA、そして2017年から個人型確定拠出年金の対象者拡大など、毎年投資を促す制度の創設や改正が行われています。
このような動きの背景には、今後公的年金の財政が厳しくなっていくことが予想されるので、国民の自助努力による資産形成を促していこうという政府の意図があるのですが、制度が増えて複雑になり過ぎた感が否めませんね。
「どのように使っていけばいいのかわからない」という声を聞く機会も多くなっています。
確定拠出年金とNISA・つみたてNISAの比較
そこで今回は確定拠出年金とNISA・つみたてNISAの比較表を作成してみました。
(ジュニアNISAは目的が異なるため除外)
確定拠出年金 | NISA | つみたてNISA | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
対象者 |
加入時60歳未満の 会社員、公務員、 自営業者、専業主婦等 |
日本に住む20歳以上の人 | |||||||
投資可能期間 |
掛金拠出は 原則60歳まで |
2014年~2023年 | 2018年~2037年 | ||||||
投資手法 |
毎月の掛金拠出が基本 (2018年以降は年1回 の拠出も可) |
投資限度額内で 一括投資や 積立投資を行う |
定時定額購入で投資 (積立投資) |
||||||
払出し | 原則60歳以降 | いつでも可(制限なし) | |||||||
拠出時の税制 |
個人が拠出する掛金は 全額所得控除の対象 |
税制上の優遇はない | |||||||
運用益 | 非課税 | ||||||||
非課税 運用期間 |
最長70歳まで 運用可能 |
最長5年間、 ロールオーバー すれば最長10年間 |
最長20年間、 ロールオーバーは 不可 |
||||||
投資対象 |
投資信託の他に、 定期預金・保険商品 など |
上場株式、 株式投資信託、 ETF、REIT等 |
一定の要件を満たした 株式投資信託とETF |
||||||
投資限度額 |
年14.4万円~81.6万円 (属性によって 異なる) |
毎年、新規投資で 120万円まで |
毎年、新規投資で 40万円まで |
||||||
非課税 投資総額 |
- |
最大600万円 (120万円×5年間) |
最大800万円 (40万円×20年間) |
||||||
確定拠出年金は60歳まで払出せない
これらの諸制度を使い分けるポイントとして、確定拠出年金は原則60歳まで払い出せないということがあります。
(例外的に払い出せるケースとしては、被災した場合などがあります)
そのため住宅資金や教育資金などで60歳までに使う可能性がある資金については、確定拠出年金に振り向けてはいけません。
掛金の全額所得控除など税制優遇が大きいので、ついついその点に目を向けてしまう人もいますが、確定拠出年金の60歳まで払い出せない欠点を忘れないようにしましょう。
いつでも払い出すことができるNISAとつみたてNISA
一方で、NISAやつみたてNISAはいつでも払い出すことができます。
そのためこれから住宅購入を予定している場合や、子供がいて教育資金等の資金繰りに不安が残る場合は、NISAやつみたてNISAを使ったほうがいいと思います。
教育資金の準備については目的が違うので表には掲載していませんが、超低金利の今は学資保険(こども保険)や終身保険・養老保険等の貯蓄性の保険には全くと言っていいほど魅力がありませんので、保険を使って教育資金の準備を行うのはナンセンスとしか言いようがありません。
近年の消費者物価の伸び以上に、教育費がインフレ傾向にあることを加味して考えると、低リスクタイプの商品を選んで投資信託の積立を行うほうが良いと思います。
そのためジュニアNISAは有力な選択肢になりますね。
手元にまとまった資金がある場合はNISA
NISAとつみたてNISAは、非課税投資総額だけみればつみたてNISA(800万)のほうが枠は大きいですが、つみたてNISAは定時定額購入(積立)でしか購入することができません。
すでに手元にまとまった資金がある場合は、せっかくの複利効果を活かす意味でも、NISAを使ったほうがいいかもしれません。
複利効果・・・「複利」とは運用において利息に対する利息がつく意味です。
利息が元本に組み込まれるため、時間がたつほどその利息が雪だるまのようにつみあがって大きくなるというもので、このような利息が利息を生む効果を「複利効果」と呼びます。
いずれにしてもライフプランを作成して60歳までの資金繰りなどの確認をしつつ、どの制度が自分に合っているのかを判断していくことが大切になります。
久保 逸郎
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