2020年1月18日に総務省が2019年12月(令和元年)の消費者物価指数を公表しました。
これによれば総合指数は前年比0.8%の上昇、生鮮食品を除く総合指数は0.7%の上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は0.9%の上昇となっており、いずれの指数も政府と日本銀行が一体となって目指しているインフレターゲット2%には届いていないものの、着実に物価が上がっていることを示す結果になっています。
そこで今回のテーマのインフレです。
インフレといえば、一般的に「物価の上昇」というように思い浮かべる人が多いと思いますが、裏を返せば「貨幣価値の低下」ということでもあります。
現在の日本はマイナス金利政策を行っていて、超低金利の状況が続いています。しかも経済成長率は年々低下して、さらに莫大な借金を抱えている財務状況ということもあって、もはやかつてのような高金利は望むべくもありません。
このような環境においては、安全資産とされる預貯金等にお金を置いたままでは、年々物価が上がる分だけ資産価値が下がっていってしまうことになる可能性が高いといえます。
このことに早く気付いて対策を行った人と、何も対策をしていない人との格差がこれから拡大していくのではないでしょうか。
インフレに強い資産とは
それではインフレに備えるためにはどうすればいいのかというと、それは保有資産の中に物価上昇にも対応できる資産を一定割合組み込むことです。一般的に物価上昇に強いと考えられている資産は下記で挙げているような資産です。
「株式」
インフレにより商品の価格が上がるため、企業の売上や利益が向上して株価上昇につながります。
「商品(コモディティ)」
たとえば原油などのエネルギーは、物価への影響が大きい資産の代表格。
「物価連動国債」
物価の上昇率に応じて元金が増える国債。受取利子と償還額が物価につれて動くため、インフレに強い金融商品といえます。
但し、物価が下がると利回りが低下するなど注意点もあります。
「高金利通貨」
金利水準の高い外貨に投資を行うことで物価上昇率以上の収益を獲得して、インフレに対抗する方法。
ブラジルレアルなどの高金利通貨がターゲットになりますが、外貨投資は為替リスク・信用リスク・金利変動リスクがあるので要注意。
「不動産」
賃料は物価と連動する傾向があるため、インフレによって不動産価値の上昇が期待できます。
しかし、急激な人口減少が進んでいる日本においては、需要の減少が見込まれることから、これまでの常識は通用しないと考えたほうがいいでしょう。
必要以上にリスクを取り過ぎないように
上記で紹介したものは、ずれも元本割れしてしまう可能性があるリスク資産ですが、これらを保有資産の一部に組み込むことは、インフレに備えるという意味で大切なことです。
その際の注意点としては、リスク資産の割合が過多にならないように、保有している資産の規模や年齢などによって、どの程度までリスク資産を保有するかを決めることです。
また、たとえば景気の先行指標ともいえる株価は、物価や景気に先行するという特性があるため、どちらかというと景気回復の時期に優位な資産といえます。
その一方で、商品(コモディティ)は、農産物などは景気回復の時期に優位ですが、エネルギーなどは実際に需要が高まる景気加速期に価格が上がるという特徴があります。
また、物価連動債などは景気がピークを迎えた後の減速期に優位です。
このように各資産によって値動きのタイミングが異なるため、どれか一つに偏らせるのではなく、全体的にバランスよく保有していくことが大切になってきます。
久保 逸郎
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