つみたてNISAの開始まで1ヶ月を切ったこともあり、このところ事務所に相談に訪れていただくお客様が増えています。
なかにはこの機会にイデコ(個人型確定拠出年金)も一緒に始めようという方も多く、資産形成の意欲の高まりのようなものを感じています。
これから「貯蓄から資産形成」の流れが本格化するのかもしれません。
投資対象は長期分散投資に適したファンドのみ
そのつみたてNISAですが、通常のNISAと違い、個別株式は投資対象に含まれていません。
証券取引所に上場しているETF(上場投資信託)や公募株式投資信託のうち、金融庁が「長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有する」と認めたものが対象になります。
そのため現時点(2017年12月6日発表)では、インデックス投資信託:113本、アクティブ運用投資信託:15本、上場株式投資信託(ETF):3本の、合計131本のファンドのみがつみたてNISAの投資対象になります。
以前の発表時に比べて、投資対象が少し増えましたが、まだまだ本数としては少ないですね。
2017年12月6日発表
<金融庁:つみたてNISA対象商品届出一覧>
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/26.pdf
しかし、これらは金融庁による厳しい基準をクリアしたものばかりです。
例えば公募株式投資信託の場合、
・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下に限定(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
これらの要件を全て満たしたものだけが投資対象になっています。
投資家目線で考えれば、金融庁のほうでコスが高いもの等を排除して、しっかりと厳選をしてくれていることになるので、これから投資を始める初心者が選ぶ選択肢としては良いと思います。
買付け方法は定時定額購入のみ
つみたてNISAの購入方法ですが、事前に証券会社などとの間で締結した累積投資契約に基づいて、対象銘柄を指定して行う定時定額購入方式(「1ヶ月に1回」など定期的に一定金額の買付けを行う方法、いわゆる積立投資)に限られます。
例えば、通常のNISAのように一度に40万をまとめて購入することはできませんので注意をしてください。
※積立の最低金額等、取引条件はそれぞれの金融機関で異なります。
金融機関によって取扱本数が大きく異なる
それにつみたてNISAは金融機関によって取扱本数が大きく異なります。
初心者向けの制度であることから、わかりやすさを優先して数本の取扱いに絞っている銀行が多く、取扱本数だけならネット証券のほうが圧倒的に多くなっています。
また、運用会社が直接投資家に販売を行うところもあります。
金融機関の変更も可能とはいえ、その年につみたてNISA口座で一度でも買付けを行ってしまうと、その年分については金融機関を変えることはできません。
そのため事前に投資を行う商品を選んでから、つみたてNISAの口座を開設する金融機関を選ぶようにするといいでしょう。
久保 逸郎
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