新型コロナウイルスが米国で猛威をふるっており、感染者の数はとうとう米国が最も多くなってしまいました。
金融経済の中心都市NYがロックアウトされているニュースはご覧になったことがあると思いますが、今は感染拡大を抑えるために、全米で経済活動を停止したような状態になっており、そのため仕事を失う人が多く、失業率が急上昇しています。
米国の失業保険申請者数は3月26日発表(3月第3週)で約300万人、4月2日発表(3月第4週)で約660万人というように、過去には例が無い衝撃的な数字が発表されています。
このニュースで米国経済に対して不安が増したという方も多いのではないでしょうか?
失業者急増の背景にあるもの
しかし、この失業者急増には背景があります。
それは新型コロナウイルスに対する経済対策として、失業者に週当たり600ドルの上乗せ給付が行われていることです。
この上乗せ給付は13週に渡って支給されることが決まっています。
米国の失業給付は収入の約半分ですから、ちょっと例を出してみると、今米国で失業した方は、このような金額の給付を受けていることになります。
【週当たり】
通常の失業給付 500ドル
※上乗せ給付 600ドル
合計1100ドル
上記の例では4週間(約1カ月間)で4400ドルですから、日本円に換算すると約48万円にもなりますね。
※上乗せ給付は13週間の支給
コロナウイルス感染拡大防止のための手厚い失業給付
これほど失業給付が手厚いわけですから、雇用者側は従業員のためを思って解雇を提案します。
従業員にしてみれば、新型コロナウイルス感染に怯えながら働くよりも、失業して家にいたほうが安心ですし、それで目先のお金の心配をしなくて済むのであればそれほど不満はありません。
皆さんの中でも「毎月48万円渡すから、新型コロナウイルスが収束するまで家にいてくれ」と言われたら、安心して自宅に隠ることを選択する方は多いのではないでしょうか?
しかも新型コロナウイルスの影響で事業が立ち行かなくなっている場合、雇用者側にも補助金が出ますから、まさに労使両方がWIN-WINのような状況のため、失業を選択する人が急増しているのです。
(世帯に対して「マスク2枚配布」を声高々にして首相が語っている、どこかの国とは状況が違いますね)
そのため米国では、多くの人が一旦失業して、Amazonなどの通販で玩具やトレーニング器具を買い込んで、自宅に隠って新型コロナウイルスの収束を待っている状況になっています。
だから米国の失業保険申請者数がとんでもない数字になったからといって、過度に悲観する必要はありません。
新型コロナウイルスが収束した段階で、再び従業員を雇用して、経済活動を始めるでしょう。
米国の雇用統計に一喜一憂しない
このような事情があるため、現在の米国は失業者数が急増している一方で、マーケットの不安を示すVIX指数(恐怖指数)は徐々に下がっているという現象が起きています。
もちろんマーケットにおいては、これから「二番底」を経験する可能性は十分にあると思いますし、注意深く見守っていかないといけない状況であるのは間違いありませんが、上記のような背景があるので、米国の雇用統計に過度な悲観をしてもいけません。
このようなタイミングでは、くれぐれも感情に任せた投資行動はしないで、しっかりと情報を集め、足元で何が起きているのかを把握するようにしましょう。
久保 逸郎
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